一般皮膚科のご案内(保険診療)
一般皮膚科では、皮膚だけでなく爪や髪の毛などあらゆる症状や病気に対し、 皮膚科専門医が診察を行います。ニキビや肌荒れといった一般的な肌トラブルから、やけど、ケガ、アトピー性皮膚炎、乾癬、円形脱毛症など、幅広い治療に対応しております。
診察や治療は年齢を問わずお受けいただけますので、お気軽に当院へご相談ください。
皮膚科の治療は塗り薬が中心となることから、患者様ご自身にお薬をしっかり塗っていただくために、治療の内容や薬の塗り方などをなるべく分かりやすく丁寧にお伝えすることを心掛けます。
また、当院の特徴として、エキシマライトによるアトピー性皮膚炎・乾癬・円形脱毛症・白斑などに対する紫外線療法があります。
様々な皮膚のお悩みをなるべく当院で診療させていただきたく思いますが、重症の感染症、皮膚の悪性腫瘍の疑いや、自己免疫疾患の疑いなど、総合病院でのより専門的な診療が必要となる場合は、患者様とご相談の上、適切な連携医療機関にご紹介をさせていただきます。
このような症状はありませんか?
かゆみ・赤み
かゆみや痛みを伴う赤みを訴えて、受診される患者様は多くいらっしゃいます。
その症状を「いたがゆい」と表現することもあります。
以下に挙げる疾患が代表的なものです。
ぶつぶつ・できものがある
様々な原因で発疹(ぶつぶつ)や吹き出物ができることがあります。
中には感染症や手術が必要なできものの可能性もございますので、自己判断を避け、できるだけ早く受診しご相談ください。
カビ・細菌・ウイルスなどの感染症
皮膚は細菌、カビ(真菌)、ウイルスによる感染を受けやすく、症状が広がる前に適切な治療を行うことが大切です。
気になる症状があれば、早めの受診をお勧めします。
よくある皮膚疾患
湿疹
「肌がかゆくて赤い発疹がある」というのは皮膚科を受診される患者様にとても多い症状です。
湿疹は、皮膚に赤み、ぶつぶつ、ガサガサなどさまざまな発疹が出てかゆい状態です。
原因としては、乾燥や汗の刺激、摩擦やアレルギーなど多岐にわたりますが、特定できない場合も少なくありません。
湿疹はかゆみを伴うことが多く、つらい症状です。患部を掻きむしると、範囲が広がったり、強い色素沈着となったり、「とびひ」になって発疹が全身に広がったりする可能性があるため、早めに受診されることをお勧めします。
原因が明らかなものは避けるように生活指導を行い、かゆみや炎症を抑制するために、外用薬や内服薬による治療を行います。
かぶれ(接触性皮膚炎)
「髪を染めたらかゆくなった」「原因はわからないが、繰り返し湿疹が出る」など、特定の物質が肌に直接触れたことで炎症や湿疹が起こることを接触皮膚炎(かぶれ)と言います。
原因が分かっている場合もあれば、原因と気づかず使い続けているうちに症状が出る場合もあります。
接触皮膚炎の原因は、アレルギー性と、アレルギーに関係なく誰にでも起こる可能性のある刺激性に大別されます。
原因物質は様々で、主なものには化粧品やシャンプー、髪染め、アクセサリーに含まれる金属、ゴム製品、植物、果物、湿布、目薬などがあります。
原因物質を特定するには問診が重要ですが、必要に応じて「パッチテスト」を行う場合があります。
パッチテストとは、原因と思われる物質を皮膚に貼り付け、反応を観察する検査です。
原因物質が特定されたら、その物質を含むものとの接触を避けることが重要です。
特定できていなくても、原因の可能性があるものはできるだけ避けるようにします。避けることが難しい場合は、手袋を着用するなど直接皮膚に触れないように工夫をすることが必要です。
アトピー性皮膚炎
かゆみを伴う湿疹が良くなったり、悪くなったりを繰り返す慢性の皮膚疾患です。
アトピー性皮膚炎の方は、アトピー素因と言われるアレルギーを起こしやすい体質を持っていることが多く、皮膚のバリア機能の低下も原因のひとつになっていると言われています。
そのような体質的な要因だけでなく、皮膚の汗や汚れ、紫外線、温度や湿度、ダニ、ほこり、線維、精神的ストレス、睡眠不足、こすれる・掻くといった刺激など、様々な要因によって皮膚症状が悪化します。
乳幼児期に発症し、成長とともに症状が改善する場合もありますが、成人してからも症状が続いたり、成人してから発症するケースもあります。
治療は、保湿剤や抗炎症薬を用いた外用療法、抗アレルギー薬の内服療法が中心となります。
皮膚のバリア機能を高め、悪化を予防するため保湿剤による継続的なスキンケアがとても重要となりますので、当院では外用指導を重視しております。
また、治療を進める前に必要に応じてアレルギー検査を行い、結果をもとに生活環境の見直しなどもご提案する場合があります。
そのような塗り薬やスキンケア、悪化因子対策で軽快しない場合には、紫外線療法を行うこともあります。
適切な治療とスキンケアを継続することで、症状の悪化を防ぎなるべく良い状態の肌を保つことが目標です。
脂漏性皮膚炎
頭皮や顔などに赤みやかさつき、フケのようなものが見られる皮膚疾患で、かゆみはあったりなかったりと個人差があります。
原因は明確には分かっていませんが、皮膚の常在菌であるマラセチア菌が皮脂を分解して、その結果発生した物質が刺激になり発症すると考えられています。
生活習慣の乱れやビタミン不足、ストレスで皮脂の分泌が過剰になったり、乾燥により皮膚のバリア機能が低下すると悪化します。
新生児期や乳幼児期のものは一過性で、成長するにつれて自然に軽快します。
成人の場合は、症状を繰り返して慢性的な経過をたどることが多いので、薬物治療と生活習慣の改善により治療を行います。
薬物治療では、抗真菌薬であるケトコナゾールの外用や、炎症が強い場合にはステロイドの外用を行います。
また、皮脂分泌を抑えるためにビタミンB群の内服薬を処方することもあります。
普段の生活においては、皮膚を清潔に保つことが大切です。脂漏性皮膚炎に効果的なシャンプーを使用したり、顔の脂漏部位(額、鼻の周り)をよく泡立てた洗顔料で洗ったりすることをお勧めします。
また、皮脂分泌が過剰にならないよう、食生活の乱れや睡眠不足の解消なども大切です。
蕁麻疹(じんましん)
蕁麻疹(じんましん)は、虫刺されのような、かゆみを伴う盛り上がった赤い発疹が出現し、数時間~24時間以内に跡を残さず消える皮膚疾患です。
一度消えた後も繰り返し出現することがあり、数日から数カ月以上続く場合もあります。
蕁麻疹を引き起こす原因としては、食べ物や内服薬のアレルギー、細菌やウイルス感染、物理的刺激、過労やストレスなど様々なものがあり、はっきりと分からないことが多いです。
蕁麻疹の一番の治療は、蕁麻疹の原因を探し、それを取り除く、もしくは避けることですので、問診が重要になります。
しかしながら、蕁麻疹の原因は多岐にわたるため、原因を特定し避けるのが難しいことが多いのが実際です。
そのため、抗ヒスタミン薬の内服で症状をコントロールし抑える治療を行います。
長く続く蕁麻疹も抗ヒスタミン薬内服で症状が出ない状態を継続することで、再発しにくくなるとされていますので、一人ひとりの症状に合わせて適切な薬を処方いたします。
なお、急激な腹痛や下痢、息苦しさなどの症状とともに蕁麻疹が現れた場合は、アナフィラキシー症状のこともあるため、総合病院もしくは救急外来を受診する必要があります。
乾癬(かんせん)
尋常性乾癬は、はっきりとした境界を持つ盛り上がりのある赤い発疹が特徴で、銀白色の粉のようなもの(鱗屑)で覆われていることが多く、かゆみを伴うこともあります。
発疹は、頭部、肘、膝、臀部など、機械的刺激を慢性的に受ける部位に出現する傾向があります。
皮膚症状の他、関節炎や爪の変形などを伴う場合もあります。
明確な原因は分かっていませんが、遺伝的な要素に加え、糖尿病、脂質異常症(高脂血症)、肥満や、喫煙、飲酒、食事など生活習慣、気候変化、ストレス、感染症などが複雑に関与し免疫に異常が生じることで発症すると考えられています。
ひとたび発症すると完治しづらく、症状を繰り返し慢性的な経過となることが多いため、症状を抑え悪化を防ぐことが目標となります。
主な治療法には、ステロイドや活性型ビタミンD3製剤の外用薬、紫外線療法、PDE4阻害薬(アプレミラスト)、免疫抑制剤やビタミンA誘導体などの飲み薬があります。
関節症状や全身に皮疹が広がる重症例では、生物学的製剤による注射や点滴治療を行うこともあり、治療の選択肢が広がっています。
生物学的製剤を使用する際には開始前や開始後にも定期的な検査が必要であるため、連携する承認施設をご紹介させていただきます。
ニキビ(尋常性ざ瘡)
ニキビの主な要因としては、以下の3つが挙げられます。
- 皮脂の分泌量が過剰になる
- 毛穴が詰まっている
- アクネ菌が増殖している
皮脂の分泌量が増えて古い角質と混ざり合うことで角栓ができ、角栓が毛穴の出口を塞いで皮脂が毛穴に蓄積すると、コメド(面ぽう)という毛穴の詰まりが形成されます。
その内部でアクネ菌が皮脂を栄養にして繁殖し、炎症を伴う赤いニキビへと発展します。
大人のニキビは、ホルモンバランスの乱れや睡眠不足、紫外線の影響、ストレス、生活習慣の乱れなど、複数の要素が絡み合うことで発生するケースが多く、治りづらい傾向にあります。
一方、思春期のニキビは、成長期特有のホルモンバランスの急激な変化が主な原因です。
治療は、診察でニキビの種類や症状の程度を見極めた上で、外用薬(コメド治療薬や抗菌薬)や内服薬(抗菌薬、ビタミン剤、漢方薬など)を適切に選択します。
再発を予防するために重要なことは治療を継続することと、洗顔を含めたスキンケアを行うことですので、外用やスキンケアの指導を重視しています。
最初は保険診療でのニキビ治療をしっかり行うべきと考えますが、難治性や重症の場合は、ケミカルピーリングやアゼライン酸外用、イソトレチノイン内服など保険適用外の治療が有効と考えられるケースもありますので、その場合は患者様とご相談の上、治療方針を立てていきます。
また、ニキビが悪化するとニキビ跡が残ってしまう可能性があります。
ニキビ跡の治療は時間がかかってしまったり保険適用外の治療が必要になったりすることがあるため、早期の治療が重要です。
まずはお気軽にご連絡ください。
水虫(白癬)
水虫は白癬菌(はくせんきん)というカビの一種が原因となる感染症です。
水虫かどうかを正しく診断するには、皮膚や爪の一部を採取し、顕微鏡で白癬菌の有無を調べる必要があります。市販の水虫薬を自己判断で使われている方も多いのですが、実は水虫ではなく、湿疹など別の皮膚疾患を患っている場合も少なくありません。
そのため、皮膚科での正確な診断と適切な治療が完治への近道です。
治療は、足白癬の場合は抗真菌薬の外用薬が一般的に用いられますが、爪白癬の場合は抗真菌薬の内服薬が必要になることもあります。
治療期間が短かったり、適切な外用ができていないと完治せず再発を繰り返すことがありますので、自己判断をせず当院へお気軽にご相談ください。
虫刺され
虫刺され(虫刺症)は、虫に刺されたり咬まれたりすることで、刺された直後から翌日以降にかけて、刺された部位が赤く腫れたり、水ぶくれやしこりができたりします。特に小さなお子様に腫れが強くなることがあります。
治療は、ステロイドの外用薬を短期間、局所的に塗布し炎症を早期に抑えます。
かゆみがひどい場合は、抗アレルギー薬の内服を行う場合もあります。患部を掻いてしまうと、掻き壊して伝染性膿痂疹(とびひ)や、治りにくい痒疹(ようしん)になる場合がありますので、皮膚科で治療を受けて早期に炎症を抑えること、また普段から虫に刺されないように予防することが大切です。
庭で作業をしたり、草むらや山などへ出かけたりする際にはできるだけ肌を露出しない服装をする、虫よけスプレーを使用するなどの対策をお勧めします。
単純ヘルペス
単純ヘルペスウイルスは主に顔など上半身に症状を引き起こす1型と、外陰部や臀部など下半身に症状が出る2型に分類されます。
症状はピリピリとした痛みと、赤みや水ぶくれが見られます。
初めて感染した際の多くは症状が出にくく潜在的な感染となりますが、症状が出る場合は口唇や外陰部に発疹が出るだけでなく、発熱や全身性の症状を伴い重症化することがあります。
単純ヘルペスウイルスは1度体内に入ると神経節に潜伏し続け、疲労やストレス、風邪などの要因で免疫力が下がると、繰り返し再発する可能性があります。
治療は軽症の場合は抗ウイルス薬の外用、中等症以上の場合は抗ウイルス薬の内服を行います。
発症早期で治療を開始すると悪化を抑えることができて効果的ですが、発症後すぐに受診することが難しい患者様のために、あらかじめ次の発症分の薬を処方しておくPIT療法(Patient Initiated Therapy)という治療が近年適応となりました。
処方には条件がありますので、ご希望の場合はまずはお気軽にご相談ください。
帯状疱疹
帯状疱疹はピリピリとした痛みから始まり、その後赤みや水疱などの発疹が左右どちらかに帯状に出現するのが特徴です。
原因ウイルスである水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)は、小児期に感染すると水痘(水ぼうそう)として発症します。
水痘(水ぼうそう)が治った後もウイルスは神経に潜伏し、加齢や疲れ、ストレスなどによって免疫力が低下した際に再活性化することで帯状疱疹が発症します。
診断と治療が遅れるほど、帯状疱疹後神経痛と呼ばれる慢性的な神経痛が長引くリスクが高まります。
治療で使用される抗ウイルス薬はウイルスの増殖を抑えるものであり、発症後早い段階で開始することで十分な効果が期待できます。
そのため、できるだけ早く皮膚科を受診し、抗ウイルス薬の内服や鎮痛薬による治療を開始することが重要です。
また、発熱や頭痛を伴う重症例や、顔面に症状があり顔面神経麻痺や視力低下、難聴などの合併症が見られる場合には入院し点滴加療が必要になりますので、連携している医療機関へご紹介しております。
いぼ(尋常性疣贅)
いぼは、ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染によって起こる、ぶつぶつと盛り上がりのあるできものです。
ウイルスが原因であるため、放っておくと徐々に大きくなったり増えたりしてしまうことがあります。
治療は、液体窒素療法が基本ですが、ヨクイニンの内服や外用療法などを行うこともあります。
円形脱毛症
突然はっきりとした境界を持つ円形の脱毛斑が現れるのが特徴です。1か所だけでなく複数箇所に生じたり、頭部全体など広い範囲に脱毛を起こすこともあります。
円形脱毛症はよくストレスが原因と考えられがちですが、実際にはストレスはあくまで発症要因のひとつであり、主な原因は自己免疫異常によって毛包が攻撃されることと考えられています。また、アトピー性皮膚炎、甲状腺疾患、膠原病などを合併している場合もあるため、必要に応じて血液検査などを行う場合があります。
治療としては、局所の炎症を抑えるためのステロイド外用薬や、脱毛部位の血流を促進する外用薬から開始されることが多く、その他にはステロイドの局所注射や液体窒素を利用した凍結療法、エキシマライトによる紫外線療法なども選択肢として挙げられます。
白斑(尋常性白斑)
白斑は、皮膚の一部の色が抜けてしまい脱色素斑ができる疾患です。
白斑には遺伝による先天性のものと、後天性のものがあり、尋常性白斑は後天性のものです。
原因は明確には分かっていませんが、自己免疫異常が原因のひとつと考えられています。自己免疫異常により、免疫機能が自身のメラニンを生成する細胞(メラノサイト)を攻撃してしまうことにより発症すると考えられています。
治療としては、ステロイドやタクロリムス軟膏、活性型ビタミンD3製剤などの外用薬やエキシマライトによる紫外線療法を行います。
多汗症
多汗症とは、手のひらや足の裏、脇の下などに必要以上の発汗が見られる症状です。
多量の発汗により汗ジミやにおいの原因になるため、日常生活に支障をきたす場合があります。
多汗症は症状のある部位と原因からいくつかに分類されますが、皮膚科で治療することが多いのは、明確な原因がなく、特定の部位でのみ汗が増える原発性局所多汗症というものです。
治療には、原発性腋窩多汗症と原発性手掌多汗症に対する外用療法や、発汗を抑える内服療法、腋窩多汗症に対するボトックス注射などがあります。
やけど
やけどをした場合には、まずはできるだけ早く流水で20分以上冷やすことが大切です。
冷やしましたら、できるだけやけどの程度を軽くするため、お早めに皮膚科を受診してください。また、低温やけどには特に注意が必要です。湯たんぽやカイロによるやけどは、気づかないうちに組織の深くまで傷つけてしまうことがあるためです。
当院では、軟膏を用いた治療を中心に行います。
必要があれば、水ぶくれを破く処置を行う場合があります。
外科的治療が必要な場合や、やけどの深さや範囲によっては総合病院をご紹介させていただきます。
たこ(胼胝)・
うおのめ(鶏眼)
体重がかかりやすい、当たりやすいなどの理由から同じ部分が慢性的に刺激されると、たこ(胼胝)や、うおのめ(鶏眼)が生じます。痛みなどがある場合は、肥厚した角質を削り取る治療を行います。
また、再発を予防するために、外用治療も行われます。
お子様の場合、「たこ」や「うおのめ」のように見えて実際にはウイルス感染によるいぼ(尋常性疣贅)になっていることもよくあります。
症状によって処置が異なりますので、皮膚科医の診察を受けることをお勧めします。気になる症状があれば、お気軽に当院へご相談ください。