ニキビやニキビ跡で
お困りではありませんか?
ニキビは、毛穴が詰まることで皮脂が溜まり、内部で細菌が増殖することによって起こる皮膚の炎症性疾患です。
思春期には性ホルモンの影響でニキビが多く見られますが、お子様から大人まで幅広い年齢層で発生します。
また、背中や胸など、顔以外にもできます。
ニキビは放置するとニキビ跡となり非常に治りにくくなる場合があるため、できるだけ早く皮膚科で適切な治療を受けることが重要です。
院長自身も中高生の時にニキビに悩んだ過去があり、なかなか皮膚科を受診し治療するという勇気が出なかったことを覚えています。
そのような経験から、なるべく多くのニキビに悩む方々が気軽に皮膚科を受診し適切な治療を受けれるように努めていきたいと考えています。症状の程度に関わらず、ご遠慮なくご相談ください。
治療は、診察でニキビの種類や症状の程度を見極めた上で、外用薬(コメド治療薬や抗菌薬)や内服薬(抗菌薬、ビタミン剤、漢方薬など)を適切に選択します。
再発を予防するために重要なことは治療を継続することと、洗顔を含めたスキンケアを行うことですので、外用やスキンケアの指導を重視しています。
最初は保険診療でのニキビ治療をしっかり行うべきと考えますが、難治性や重症の場合は、ケミカルピーリングやアゼライン酸外用、イソトレチノイン内服など保険適用外の治療が有効と考えられるケースもありますので、その場合は患者様とご相談の上、治療方針を立てていきます。
思春期ニキビと
大人ニキビの違い
ニキビは大きく「思春期ニキビ」と
「大人ニキビ」の2種類に大別されます。
思春期ニキビ
思春期ニキビは、ホルモンバランスの急激な変化の影響で皮脂の分泌が過剰となり、毛穴が詰まりやすくなることで発生します。
大人ニキビ
大人ニキビは、ストレスや疲労、睡眠不足などによるホルモンバランスの乱れが原因で、肌のターンオーバーの周期が崩れたり、皮脂の分泌が増加したりすることで毛穴が詰まって発生します。
「角質肥厚」と呼ばれる、肌表面の角質層が厚くなる現象は毛穴の詰まりを引き起こす要因の1つです。
角質肥厚が起こりやすい方ほど、ニキビができやすいとされています。
通常、古い角質は自然に剥がれ落ちますが、ターンオーバーの乱れなどによりそのまま残って毛穴を塞ぐと、皮脂が溜まり、アクネ菌などの皮膚細菌が増殖して炎症を引き起こします。
炎症を適切にケアしないと症状が悪化し、膿が溜まって炎症が長引くことがあります。
その結果、色素沈着のリスクが高まり、さらに炎症が進行すると皮膚組織が破壊され、へこみなどのニキビ跡が生じることもあります。
こうしたニキビ跡は、
1度できてしまうと改善が難しくなります。
そのため、ニキビの炎症を防ぐには、
早めに適切な治療を受けることが大切です。
自己判断でのケアで悪化させてしまう前に、
ぜひ当院へご相談ください。
ニキビの原因
皮脂の過剰分泌
顔には皮脂を分泌する皮脂腺が多くあります。
特に思春期にはホルモンバランスの変化により皮脂腺が活発に働き、皮脂の分泌量が増えます。
毛穴の詰まり
古い角質が毛穴の出口を塞ぎ、内部に皮脂が蓄積されて毛穴の詰まりができます。
細菌の繁殖
毛穴の内部でアクネ菌が増殖し、
皮膚の炎症を引き起こします。
ニキビのタイプ
ニキビは状態によって
いくつかの種類に分けられます。
以下では、ニキビの種類についてご説明します。
マイクロコメド
(微小面ぽう)
肉眼では見えない、小さい毛穴の詰まり。
白ニキビ
毛穴が角化異常などで詰まった状態になり、毛穴の中に皮脂が溜まって、毛穴の中の毛包が肥大します。
皮脂が白く見えるため白ニキビと呼ばれ、炎症は起こっていません。また、コメド(面皰・めんぽう)とも呼ばれます。
黒ニキビ(黒色面ぽう)
皮脂分泌の増加とともに詰まった毛穴が開き、皮脂が空気に触れることで酸化して黒っぽく変色した状態です。
赤ニキビ
ニキビの原因となるアクネ菌などの常在菌が、毛穴に詰まった皮脂を栄養源として増殖し、炎症を引き起こした状態です。
炎症により赤みを帯びてきます。
黄ニキビ
炎症が悪化すると、膿が溜まり始め、溜まった膿でニキビの表面が黄色く見える状態です。
保険によるニキビ治療
外用療法
毛穴の詰まりを改善する外用薬
ニキビ治療で最も大切なことは、継続することです。毛穴の詰まりを改善する治療を中断すると、再発する可能性が高く、繰り返しニキビができてしまうことがあります。
そのため、まずは3カ月を目標に治療を継続することをお勧めします。
その後も根気よく治療を続けることで、ニキビができにくい肌を目指すことができます。
アダパレン(ディフェリンゲル)
皮膚の角化を正常化し面ぽうを減らす作用と、抗炎症作用があります。
過酸化ベンゾイル
(べピオゲル・ローション)
毛穴の詰まりを改善するピーリング作用(皮膚表面に溜まった古い角質を除去する作用)と、抗菌作用があります。
抗生物質とは別の機序により抗菌作用を発揮するため、長期間使用しても耐性菌ができにくく、予防的に継続して使用することができます。
どちらの薬剤も特に塗り始めの数週間に乾燥や皮むけ、赤みやヒリヒリ感などの刺激症状が出る場合があります。
それらは一時的なもので、使用を継続するうちに軽減されることがほとんどです。
しかし、刺激症状が出ると使用が不安になり離脱してしまう方が多くいらっしゃいますので、治療開始時に刺激症状をなるべく抑えるための塗り方をご説明します。
それでも刺激症状が強い場合、また稀に成分に対するアレルギーで強いかぶれを起こしてしまう場合もありますので、症状が気になる方は早めに診察でご相談ください。
エピデュオゲル
上記のアダパレンと過酸化ベンゾイルの2つの成分が配合された薬剤です。
保険治療薬の中では最も高い効果が期待できますが、その分副作用である刺激症状が出やすい傾向があるため、アダパレンや過酸化ベンゾイル単体で効果が乏しい場合に、肌質や刺激症状の強さなどを考慮して提案させていただきます。
抗生物質
赤ニキビは、毛穴の中でアクネ菌などが増殖し炎症が起こっている状態です。
そのため、抗生物質の外用薬により殺菌することで、炎症を早期に抑えることが期待できます。
抗生物質は長期に外用すると耐性菌が生じ、効きが悪くなる可能性があるため、まさに現在炎症を起こしている赤ニキビにピンポイントで使用します。
内服療法
抗生物質
ニキビが多発している場合や、大きく腫れたりしこりになっている場合など症状が強い場合には、抗生物質の内服薬で治療する場合があります。
特にテトラサイクリン系やマクロライド系の抗生物質は、抗菌作用に加えて抗炎症作用もあるため、ニキビの炎症を抑えるためによく使用されます。
抗生物質は長期内服によって耐性菌ができる可能性があるため、適切な使用期間にとどめる必要があります。
漢方薬
外用療法や抗生物質の内服などの治療で効果が乏しい場合に使用を検討します。
ニキビには様々な漢方薬が使用されており、症状に合わせて処方します。
漢方薬の効きには個人差があるため、しばらく継続して効果がなければ漫然と使用せず、薬剤の中止や変更をします。
自費によるニキビ治療
ケミカルピーリング
ケミカルピーリングは薬剤を塗布し皮膚表面の古い角質を取り除き、皮膚の新陳代謝(ターンオーバー)を促し正常化する施術です。角質を除去することで毛穴つまりを解消し、ニキビをできにくくします。
また、ターンオーバーを促進することで、ニキビ跡の色素沈着や赤みの改善も期待できます。
当院では、サリチル酸マクロゴールを使用します。
サリチル酸は優れた角質溶解作用を持っており、さらにマクロゴールを基剤とすることで皮膚深部への浸透を防ぎ肌への刺激を抑えることができます。
そのため、副作用が少なく効果の高いピーリングが可能です。
アゼライン酸外用
アゼライン酸は、海外では昔からニキビの治療薬として使用されている成分です。
海外では医療用医薬品として使用されている場合もありますが、日本では化粧品含有成分という位置づけになっているため保険適用外です。
主な作用は、皮脂分泌の抑制や抗炎症作用、抗菌活性や美白効果(メラニン産生の抑制)があります。
皮脂を抑えることで毛穴の詰まりを防ぎ、抗菌作用によりニキビの原因となる細菌の増殖を抑えることで、ニキビへの治療効果を発揮します。
アゼライン酸は天然由来の成分であり安全性が高く長期に使用することが可能であり、刺激症状などの副作用も少ないためニキビのコントロールに使用しやすいと考えます。また妊娠中でも使用可能です。
イソトレチノイン内服
イソトレチノインは、ビタミンAおよびその誘導体の総称である「レチノイド」が主成分です。
ビタミンAには、皮脂腺を縮小し、皮脂の分泌量を減らす効果があります。
また、皮膚の角化異常を改善し、毛穴の詰まりを防ぐ効果もあります。
さらにアクネ菌による炎症を抑える効果もあるため、保険治療では改善が見られなかった重症のニキビにも効果が期待できます。
米国では、1982年に厚生労働省に相当する行政機関であるFDA(米国食品医薬品局)に重症ニキビの治療薬として初めて承認されました。
しかし、日本では厚生労働省の認可がおりていないため保険適用外となり、自由診療での治療となります。
保険治療など他の治療を数カ月程度行っても改善が見られない場合は、イソトレチノインでの治療を検討します。
イソトレチノインの治療方法
- まずは診察を受けていただき、これまでのニキビ治療の内容や治療期間、治療の効果などをお伺いします。
その上でイソトレチノイン治療が適応と判断されれば、治療開始となります。 - イソトレチノインを安全にご使用いただくため、治療開始前や治療開始後も定期的に血液検査を行い、副作用がないかしっかり確認をしながら治療を行います。血液検査で異常が見つかった場合には、薬の減量や中止をすることがあります。
- 1日1回(20mg)から内服を開始し、症状や体重などにあわせて投与量を調整します。
必ず医師の指示に従い、決められた用法・用量を守って服用してください。 - 治療期間は、最低4か月は継続し、平均して6カ月程度で終了とすることが多いです。
内服をやめても改善効果が続くことがほとんどですが、ニキビが再発するようなら、再度内服を行うこともあります。
イソトレチノインの副作用
以下はイソトレチノインの代表的な副作用症状です。
服用中にこれらの症状があらわれたときには、医師にご相談ください。
影響 | 症状 |
---|---|
妊婦への影響 | 胎児の先天異常、奇形、流産、早産、死産 |
皮膚症状 | 治療初期にニキビの一過性増悪(かゆみ、赤みなど)、唇や口、眼や皮膚の乾燥、鼻の粘膜への影響(鼻血など)、脱毛 |
精神神経系 | うつ病、その他精神疾患(幻覚、幻聴)、自傷行為などの重大な精神疾患 |
器官障害 | 肝障害、脂質異常症、腸疾患、筋骨格症状、聴覚障害(聞こえにくさ、耳鳴りなど)、視覚障害(角膜混濁、夜間視力低下など) |
その他 | めまい、頭痛、嘔気、嘔吐、倦怠感、疲労感など |
イソトレチノイン治療で注意すること
- イソトレチノインを内服中は、日焼けしやすくなります。日焼け止めを塗るなどして、紫外線から肌を守ってください。
- イソトレチノインは、皮脂の分泌を抑える作用があるため、内服中は肌が乾燥しやすくなります。しっかりと保湿ケアを行ってください。
- 女性の方は、次の正常月経が始まってから2~3日経過後に、内服を開始してください。
- イソトレチノインを内服中に妊娠した場合や妊娠中の内服は、短期間の使用や少量であっても胎児に先天異常や流産、早産、死産の危険性があります。そのためイソトレチノインの投与期間中と投与を終了してから以下の期間(女性の場合は6か月間、男性は1か月間)は決して妊娠しないようにしてください。
- 服用中および最終服用日から6か月間は献血をしないようにしてください。
- 治療中は、ビタミンAを含んだ薬やサプリメントの使用を避けてください。
- テトラサイクリン系の抗生物質(ミノマイシン、ビブラマイシンなど)や抗てんかん薬(フェニトイン)、ステロイド薬(内服)との併用はできません。
下記に該当する方は、イソトレチノイン治療はお控えください。
- 妊娠中の方、妊娠している可能性のある方、授乳中の方
- 18歳未満の方
- 成長期で身長が伸びている方
- 肝機能障害のある方
- 中性脂肪やコレステロール値が高い方
- 炎症性腸疾患(クローン病や潰瘍性大腸炎)のある方
- うつ病などの精神疾患を抱えている方
- ビタミンA過剰症の方、ビタミンA含有化粧品などでアレルギー反応を起こしたことのある方
- パラベン・大豆・ピーナッツアレルギーのある方
- テトラサイクリン系の抗生物質など併用禁忌薬を服用中の方
- レーシック手術の前後6カ月の方